- 岩でも背負っているような体と頭の重さ
- 立ち上がりたいのに立ち上がれない
- スーパーで何を買うか判断ができない
- 揉み手をしたり手を嚙みたくなる
- 文字を読んでいるのに理解できない
- 頭がモヤモヤするような怖い気持ち
- 胸がザワつくような焦る気持ち
- 足や手がムズムズする
- 絶望してどうしようもない
- 怒りを制御できない
- 悲しみから抜け出せない
- 耳鳴りがする
- 喉に詰まりがある
- 眠ろうと目を閉じると赤い光が点滅する
- 金縛りにあう
- 睡眠導入剤が合わなくて過眠してしまう
- お薬が合わない気がする
- 何年も鬱や自律神経失調症とお付き合いしている
・・・これ、全部、私の鬱と自律神経失調症の時の症状です。
これらすべて、食事で改善するかもしれません。
いや、食事でかなり改善します。
食事で鬱が改善する?
毎日忙しくて、ヘトヘトで。
隙間時間に菓子パンやおにぎり、カップラーメン、カフェインでエネルギーチャージをしながら仕事をしている方は多いのではないでしょうか。
週末には疲れを癒すために特大パンケーキを食べに出かける・・・
実はそれ、超危険な鬱まっしぐらコースです。
既に鬱の場合は鬱から抜け出せない迷宮入り確定。

人はストレスを感じると様々な栄養素がゴッソリと消費されます。
あなたが想像している以上に。
体に備蓄してある栄養が疲労時に消費されまくって体がスカスカなのに、ガソリンを投入してムリヤリ動かそうとしている状態なのです。
脳や自律神経が『チーン』と機能停止するのは当然です。
『もう何も考えられへん…』となるのはあなたのせいではなく、食生活のせいだとしたら?
ちょっと希望が持てますよね。
『食べて うつぬけ』
鬱や自律神経失調症、気分障害やパニック障害など心が不安定な方向けにぜひ読んでもらいたい本がこちらです。
『うつぬけ』というタイトルがユニークなこの本は、タンパク質を中心とした栄養補給により心身の不調が改善するという内容です。
メンタルヘルスは食事から!
「精神症状は薬を使って治すもの」と思われがちですが実はもっと大切なものがあります。
それは、食事です。
(中略)
心療内科や精神科に行って、抗うつ薬や抗不安薬などを処方してもらうこともできます。漢方薬を使う人もいるかもしれません。あるいかはカウンセリング、マッサージ、鍼灸治療を受けたりする方法もあるでしょう。
どんな治療が効くかは言い切れません。それでも・・・
たったひとつだけ、確信をもって言えることがあるのです。
食事を変えてください。
(中略)
精神科で処方される薬で多くの人の症状はかなり目立たなくなりますが、あくまでも対症療法。
症状に栄養や腸の問題が影響している場合は、それらを解決して体質改善することが、根本的な回復につながります。
食べてうつぬけ 奥平智之p.12-14
ココロの不調をかかえている人の中には、このような栄養不良や胃腸の悩みを持つ方が多いそうです。
- ビタミン不足
- タンパク質不足
- タンパク質代謝の低下
- 亜鉛不足
- マグネシウム不足
- 鉄不足
- 腸の悪化
- 重金属の蓄積
- 血糖調節障害

私は症状別のチェックリストほぼ全ての項目に思い当たることがありました。
いかに栄養が不足しているかを実感しました。
糖質過多チェックリスト


- お菓子や甘いものをよく食べる
- おかずが少なく、パン・めん・ごはんが多い
- 運動習慣がない
- 筋肉量が少ない
- 夕方に眠くなる、集中力が低下する
- 夕方になるとコーヒーがほしくなる
【糖質過多の問題点】血中の血糖値が乱高下することで、緊張状態やイライラを増幅させるアドレナリン分泌と、免疫機能や筋力低下の原因となるコルチゾールの分泌異常が交互に起きるため、脳疲労による神経細胞の萎縮につながってしまうということです。
最終的にはホルモンの分泌が困難になり、うつ状態やもの忘れの原因となります。
鉄欠乏チェックリスト


- 氷やアメをバリバリ噛みたくなる
- 爪が割れやすく柔らかい
- 疲れやすい
- 冷え性
- 喉に不快感がある
- 立ちくらみ
鉄分は脳内ホルモンやミトコンドリアでエネルギーを作るうえで必須のミネラル。
鉄分が不足すると、イライラ、憂うつ、神経過敏などの精神症状が出やすくなります。
また粘膜の代謝が悪くなり、アザやシミができやすくなったり、粘膜の代謝が悪くなって胃腸障害や飲み込みにくさが出ます。
男性でも赤身の肉が苦手な人は鉄分不足になりやすいといえます。
ビタミンB群不足


- 集中力がなくボーっとする
- 嫌な夢をみる
- 聴覚過敏がある
- 口内炎・口角炎がよくできる
- 食欲がない・下痢しやすい
- 肌荒れ
- 肉・魚・卵を食べない
- 精神的ストレスが多い
ミトコンドリアでエネルギーを作り出すには、タンパク質や脂質、糖質だけでは足りずビタミンB群が必須。
ビタミンB群が極端に不足していると、うつ状態や幻覚妄想状態を起こしやすくなります。
タンパク質不足チェックリスト


- 筋肉量が少ない
- 肌のハリツヤがない
- むくみやすい
- 疲れやすい
- 妊娠・授乳中
- 風邪をひきやすい
- 精神的ストレスが多い
筋肉だけでなく、酵素やホルモン、私たちの体は全てタンパク質でできています。
タンパク質が不足すると消化酵素が不足して消化吸収能力が落ち、必要な栄養素を取り込めません。
ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質もタンパク質なので不足するとうつ状態が出やすくなります。
奥平智之先生が大切にしていること
そのほか食べてうつぬけでは、マグネシウムや亜鉛、食物繊維やビタミンDが不足時の症状や、おすすめの間食の取り方などマンガをまじえてわかりやすく説明されています。
- 糖質過多に気を付ける
- タンパク質をしっかり摂る
- ビタミンやミネラルをサプリなどで補う
- 漢方薬を使ってみる
- 血液検査の詳しい見方
著者で精神科医の奥平智之先生は、食生活の改善を基本として漢方薬やサプリメントを併用し、できるだけ薬に頼らない、その人本来が持つ生きる力を大切にしていることが感じられます。
抗うつ剤に依存してしまう理由


食事療法で体調は確実に改善するとわかっているのに、取り組めなかったり、うまくいかないのはなぜでしょうか?
なぜ薬の服用に依存してしまうのでしょうか?
理由をいくつか考えてみました。
料理と食事が億劫


単純に、鬱状態になると料理ができなくなります。
料理は複雑な工程や手順を同時進行で行うので、うつ状態の時はハードルを高く感じてしまいます。
やりたいことがあっても行動に移せなかったり、何をどうすればよいのかわからず混乱しがちになります。
普段から料理する習慣が無い方には、バランスの取れた食事を準備するのは難しく感じるでしょう。
そもそも食事が億劫でできない、吐き気があって食べられない、なんてこともありますから・・・
決断や選択ができない


メンタルの不調があるときは新しく得た情報をうまく取り入れられなかったり、決断や選択がしづらいと感じる方が多いのではないでしょうか。
- 鶏肉か豚肉か
- 卵は白か赤か
- 鯖缶は醤油味か味噌味か
- トマトかキュウリか・・・
脳にベールがかかったような人、焦ってイライラしてしまう人・・・
うつ状態の時って単純な決断すらできないんですよね。
栄養が大事なのはわかるのだけど、頭が混乱して結局決められなくて、その時に食べたい糖質多めの美味しいものを選んでしまいがちです。
出費がかさむ


お肉、魚は高いですよね。
筋トレ用のプロテインパウダーもなかなか良いお値段。
豆腐などの大豆製品も良いですが造血作用が無いので、やはり動物性たんぱく質は必要です。
今まで買わなかったものを買おうとしたりタンパク質中心の食事をしようとすると、必然的に出費が増えるので食事療法は取り組みづらい印象があるかもしれません。
ひとり暮らし


家族やパートナーと同居している場合は食事をサポートしてくれる可能性がありますが、ひとり暮らしを続けるしかない方は栄養バランスを改善するのはなかなか難しいと思います。
バランスの良い定食を食べられるお店が近くにあれば良いですが、実際にはそんな恵まれた環境の人ばかりではありません。
とりあえずコンビニ弁当を買って職場へ行くのが精一杯。
休職したらしたで布団から動けないし、味覚が鈍くなって嗜好品のカップラーメンやアイスしか食べたくなくなる、なんて方も多いのではないでしょうか。
食事療法がストレスになる
正しい、望ましい食事は理解できます。
しかしそれを病気の時にやらなければならないのは非常にストレスです。
実際に糖質依存だった私が糖質を減らすのは本当に苦しく大変でした。
食べない方が良いとわかっているのに脳が『早く食べよう・・・今すぐに!』とけしかけてくるのです。
食事は1日に数回、毎日続くことです。
ストレス社会の中で唯一の楽しみであったりもします。
その楽しみの食事で苦しむなんて!
時間がかかる


『食生活の改善の効果はいつから感じられる?』と疑問に思うと思います。
正直に申し上げると、食事で体調を改善するには数週間から数か月の時間がかかります。
そんな気長に待っていられない!というのがメンタルで苦しんでいる人の気持ちだと思います。
手っ取り早く薬を飲んでどうにかしたい、安心したいと思う人は多いのではないでしょうか。
13年程前、私がうつ状態の時に通っていた漢方内科クリニックで医師から栄養指導をされたのですが、『今すぐ鬱に効く薬を処方してほしい』とばかり思っていた私は栄養指導を真面目に実施しませんでした。



もったいないことをしました・・・。
食事が大きな変化をもたらすと実感したのは、なんと、次女を出産した後です。
鬱発症から7年も経った後でした。
もっと早く真面目に食事療法を取り組んでいたら、もっと早く健康に近づけたと思うと悔しいです。
でもそれくらい、食生活の改善はストレスが大きいのですよね。
うつは薬では治らない


食事療法が浸透せずに服薬に頼ってしまう理由を述べてきましたが、食事はメンタルヘルスにめちゃくちゃ大事と声を大にして言いたいです。
鬱と自律神経失調症と付き合いながら10年、私は食事でかなり体調が変わるのを実感しました。
薬にはとても救われました。
でも薬には補助的な作用しかなく、寛解させるには食生活、運動習慣、マインドなど総合的な対策が必要だと痛感しています。
全てを同時にやるのは健康な人でもムリ!
でもまずは毎日の食事を少しずつ変えることならできそうな気がしませんか?
最終的に病を治すのはあなた自身です。
病気に向き合ってみようとする気持ち、『食生活を変えてみようかな?』という気持ちが1ミリでもあれば必ず辛い現状は変えられます。
2020年代になって先進的な技術が発達しているにもかかわらず、栄養と健康に関する知識はほんの一部の人々が知るのみです。
中学や高校、大学の保健体育の授業で取り入れて欲しいですね。